小額訴訟手続きを悪用した
「あれは、去年のことでした。突然、自宅に裁判所からの通知が来ました。少し考えてみたのですが、特に何も身に覚えはありません。悪戯か何かかと思いつつも、開けるだけ開けてみました。すると内容は、『利用料の支払いが行われていないため、至急35000円を支払うようにと業者が訴訟を起こした』というもの。確認すると、しっかりとどこかの裁判所の名前も明記されておりましたし、印鑑も捺印されており、その上担当裁判官についても記載されておりました。しかしながら私はそもそも出会い系サイトにはこれといって興味もなく、利用するはおろかサイトを見に行こうという気になったことすら一度もないのです。
何度も考えてみましたが、これは最近よく耳にする架空請求というものでこの通知自体偽造のものなのだろうと私は結論付けました。ですので、放っておけばいいだろうと判断し、警察に届けることもなく、いつしかその存在をも忘却の彼方に送ってしまっていました。それから何ヶ月過ぎたころのことでしたでしょうか、再度裁判所からの通知が送られてきたのです。今度は件の業者の主張、『未払いの35000円を支払え』という内容が確定したという旨の判決が記されていました。さすがにこれは放っておくわけにもいかず、裁判所に連絡を入れてみますれば、返答は『たしかに間違いございません』との事。
何度言っても違う間違いないの押し問答、裁判所では埒が明かないと思い消費者センターに相談に行ってみました。するとこの場合、『法的にも支払いが確定してしまっているため、支払わなければ給与等から差し押さえられるだろうとの返答が。納得しようとしてできるものでもありませんでしたが、大金というほどの大金でもなかったために通知された振込先に振り込む羽目になってしまいました……」
これは小額訴訟手続きを悪用した面倒なパターンです。実は、誰かが面識のない誰かに対して特にこれといった正当な理由もなく「金払え!」と訴訟を起こすこと自体は簡単な仕組みになっているのです。では何故そんな事件が横行していないのかといいますと、実際の裁判において支払いを要求する根拠を提出できないという問題があるためです。ですので、本来はそのようなことをしないはずなのです。
ですが、今回のように無視を決め込んでしまった場合には無条件で「敗訴」という扱いになってしまいます。これを避けるためには、裁判所にちゃんと出頭するだとか、あるいは前もって「支払う必要性はない」という旨の答弁書を送付しておけば大丈夫。もし敗訴となってしまえば、小額訴訟の場合はあとから上告もできませんので判決に沿って行動をとらなければいけないということになってしまいます。
こういった場合には、まず通知自体が偽造か本物かを確かめる必要があります。かといって確認のために掲載されている電話番号に連絡を入れてしまうと、業者につながってしまうこともあるため、まず消費者センターに相談をするのが無難な手段です。